舛添要一(2) 辞任へ導いた民主主義

舛添要一氏が東京都知事を辞任してから、早くも1か月近くたとうとしている。

舛添氏はスポーツ新聞報道によると、テレビ出演を知り合いのテレビマンに打診中ということで、全くもってタクマシイ。

全く反省していないとか、厚顔無恥である、などの罵声も世間的には飛んでいるようだ。

また、都知事時代に約束した疑惑の解明や資料の提出、別荘の売却が履行されていない、なんてことだ!と怒っている人もいるらしい。

舛添氏は辞任した、それでいいではないか、とボクは思う。

辞任に至るプロセスを振り返る

肩書から見てもわかる通り、彼は頭がいい人である。

頭のいい人はえてして、物事をシンプルに考える。

物事をシンプルに考えることで、頭の働きを前向きな方向に活用でき、更に頭がよさそうにふるまえるのだと思う。

彼は、物事の善悪を、シンプルに刑事罰を受けるか否かで線引きをして生きてきた。

線よりあちらが悪で、そこを越えないうち(悪でないうちは)は全く責められる覚えはないと。

つまり政治資金規正法で罰の対象になることは何一つやっていない、であるから、自分は責められる理由はないと。

政治資金規正法とは

ところで政治資金規正法とは多くの人間が指摘しているように天下のざる法ではある。

なぜ、ざる法なのか?

建前としては、政治資金規正法を厳しいものにすると、時の権力者、もしくは当局が不都合な政治家をかんたんに逮捕することが可能となり政治そのものを硬直させる。

政治家の行動を保障するためには、多少基準を甘くしても、法を恣意的に運用されない状況が必要である。

もし、政治資金のひどい使い方をしたり、説明責任を果たさないような政治家がいるようならば、次の選挙で落とせばいいじゃないか、との理屈である。

舛添氏の倫理観とは

ところで舛添氏の倫理観とはひどいものである。

女性関係だけ見ても、常人からは正気か?と思えるほどである。

  • フランス人女性と結婚すぐに離婚
  • 片山さつきと見合結婚(ナイフをちらつかせてのDVおよび 愛人を作り妊娠させる)
  • 愛人Aに子供を産ませ、後ほど認知するも養育費を減額請求(のち却下)
  • 愛人Bにもう誰とも結婚しないといいながら、二人の子供を産ませる
  • 愛人Bとの約束を反故にして、現在の妻と結婚

普通に見たらもう人間失格である、が、彼自身には自分が被害者に映っているようですらある。

「どこか刑法に触れることをしていますか?私は養育費だって払っているんですよ。被害者は私ですよ」と。

良くも悪くもそういう性格なのである。

堀江貴文と似ている性格

初期の舛添氏の状況をかばっていたのは堀江貴文氏であったが、彼の性格も舛添氏とよく似ている。

彼の逮捕前、代表をしていたライブドアが飛ぶ鳥を落とす勢いであった時の話である。

人気銘柄、話題銘柄のライブドアの株式を、株式分割を繰り返し、一見買いやすい値段にすることで投資家の購買意欲をあおり、証券業界の顰蹙を買った時期があるのである。

例えば、先日上場されたばかりのLINE(株)の昨日の終値が4,345円である。便宜上4,300円とする。

最低売買単位は100株であるから、43万円手持ちがないとLINE(株)の購入はできないことになる。

これが当時のライブドアの株式だとして、1株を1000株に分割して、1株を約4.3円にしてしまうのである。

つまり「4,300円の株式100株」を株式分割で「4.3円の株式10万株」にするのである。

理論的には、分割前後で株価の変動はないはずであるが、実際には最低43万円必要だった人気株が(売買単位を変えていなければ)430円で取引できるのであるから、実際の取引においては上がる確率が非常に高い。

もちろん、これは違法ではないし、ライブドアの総資産を増大し、次の買収を楽に進めていたライブドア堀江氏にとってはごくごくまっとうなやり方に思えたのだろう。

ただし、他の会社も全部同じような手法で株式分割を繰り返したらどうなるだろうか?容易に想像がつくであろう。

堀江氏に対してはソフトバンクファイナンスの偉い人がこう言っていた。

「これまでみんなで手入れしてきて脈々と流れる株式市場の地下水脈を、自分の利益だけで汚すような行為はよろしくない」

森林の売買に例えてみます。

「ライブドアが森林の一部を手に入れて、自分の土地だからと汚染物質を埋めたり、乱開発をすることは、他の所有者たちが暗黙の了解でその土地を守って、ひいては地下水脈や、地域の自然を守ってきた善意の行為を、全てを無視して破壊するのと同じ蛮行だ」ということを言いたかったのだと思います。

確かに法律には違反していません。

しかし、そんな行為が蔓延したら、より厳しい法律を作ったり、規制を厳しくしなくてはならないわけです。

そういう意味で、勝手な行動が全体に影響を及ぼす、しかも新参者のライブドア及び堀江氏には当時分からなかったのです。

多分、今でも分かっていませんが。

政治資金規正法はそんなに政治家にやさしい法律か

話が横道にそれました。

それでは、政治資金規正法が想定している政治家への罰というのは次の選挙で落とす、ということしか想定されていないのでしょうか。

法律には触れない程度の嘘(介護やってましたとか)をついていても、数年後の次の選挙までその怒りは貯めておかなくてはならないのでしょうか。

ボクはそんなことはないと思います。

ボクは、民主主義的であることを前提に、どんな圧力をかけてでも政治家をそのポジションから降ろしてもいいと考えるのです。

反対する人の中には、選挙できちんと選出した首長をは百条委員会も経ないで簡単にヤメさせてはダメだよ、なんてテレビでコメンテーターが言っていましたが、きちんと言葉を使わない政治家ほど存在価値のないものはありません。

今回、舛添氏が辞任に及んだのは「参議院への影響が大きいと官邸が判断」→「自民党都議から見放された」からと言われていますが、そう言った民衆の声が選挙への圧力となり舛添氏をヤメさせたのであれば、日本の民主主義もまんざらではないなと思うのです。

舛添氏は辞任で支出を説明しなかった責任をとった

舛添氏の読み通り、政治資金規正法では逮捕、起訴されることはありませんでした。

舛添氏の読みが外れて、政治資金規正法でグレーな部分をないがしろにした部分は、民主主義によって彼を辞任に追い込みました。

正直、東京都知事を辞任に追い込むまでの世論の圧力というものは、あそこまで民衆の心が一つにならないと発動されないんだな、と思うと同時に、

その基準を身をもって示してくれた舛添氏には感謝してもいいかなと、思っています。

知事を辞めた時点でもう有権者からの罰はおしまいです。

刑事罰があるとしたら検察に任せましょう。

テレビに出てきたらまた叩けばいいんですから。

日常に戻りましょう。

よかったら前回の記事もどうぞ 「舛添要一VS村上春樹 嫌われた果てに」