『予 感』 中島みゆき 1983年 レビュー

「予 感」名盤レビュー

このアルバム(予 感)とは

1983年発売の、中島みゆき10作目のオリジナルアルバムがこの予感である。

ネットのレビューなどをみても、8作目の『臨月』、9作目『寒水魚』そしてこの『予感』の3作を評価している声が多い。

ボクが持っているLPレコードもこの3枚で、たまたま評価の高い時期に当たったといえる。

いや、ラジオから流れるシングル曲が、この時期のアルバムに期待できるほど秀逸だったといえるのかもしれない。

『ひとり上手』『あした天気になれ』『悪女』『誘惑』『横恋慕』

これらのシングル曲を聴いたら、アルバムで聴きたくもなるよね。

中島みゆき自身、このアルバム後数年間を試行錯誤の【御乱心時代】と呼び、ファンの間でも少しの混乱が起きたようだ。

ボク自身は【御乱心時代】とは関係なく、この作品を最後にアルバム単位で中島みゆきを聴くことはほとんどなくなった。

次のアルバムまで1年7か月と長く空いたのが原因かもしれないし、このアルバムの『ファイト!』が最後の曲にふさわしすぎたからかもしれない。

曲 目

  1. この世に二人だけ
  2. 夏土産
  3. 髪を洗う女
  4. ばいばいどくおぶざべい
  5. 誰のせいでもない雨が
  6. テキーラを飲みほして
  7. 金魚
  8. ファイト!

全作詞/作曲: 中島みゆき

↑クリックで試聴できます

懐かしんだり、アルバムの雰囲気をお楽しみください。

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1. この世に二人だけ

ずんずんどんどん、という単調なリズムではじまるこの曲、彼氏が結婚していての不倫の歌かな。

二人だけこの世に残し 死に絶えてしまえばいいと

心ならずも願ってしまうけど それでもあなたは私を選ばない

って言ってはいるけど、二人だけだったら私を選んでくれるよね、っていうかすかな望み。

そして、それぐらいの状況じゃないと私とは一緒にならないよね、っていうあきらめ。

この曲を1曲目に持ってきて、それを聴かせるというのはすごい。

ここ何枚かのアルバムは1曲目が、アルバムの決意文みたいになっているので、相当に意味がある曲順だと思う。

※カラオケ動画でスミマセン。

2. 夏土産

「女友達からお土産と旅行の写真をもらう。背景には、彼氏と別の女が偶然写っていた。

 友達と行くと言っていた海。カメラを忘れて写真は撮れなかった、って言ってたけど、知らないふりをしておくわ。

 私まだあなたが好きなのよ」

 最後のパートは自分自身でコーラス、もしくは二重に同じパートを歌っており、それがまた曲に合っていて物悲しい。

3. 髪を洗う女

男を忘れるため、染みついたものを全て流すために女が髪を洗いつづける、という曲。

「いつまいつまで飽きもせず」髪を洗い続けるのは、まだ未練があるから、でしょう。

好きな曲とはいえませんが、その存在感と歌の力はものすごく感じます。

今回、歌詞を見るまで知りませんでしたが、みゆきさんの歌が始まる前に入っていた歌、讃美歌405番ですね。

wikiで調べると、「今日では、賛美歌の枠を超えて、世界的な送別の歌になった」とあります。

讃美歌と自分の歌で、過去の男に別れを告げるのでしょう。

4. ばいばいどくおぶざべい

ごめんなさい、この手の世界観はちょっと苦手です。

ノーコメントです。

5. 誰のせいでもない雨が

この当時の歌い方でこの曲をきけて良かった、という1曲。

ここ10年ぐらいの太い声で歌われても、ちょっと雰囲気は出ないんじゃないかな。

このアルバムでは「ファイト!」という大きな曲があるから、この曲順だと思うが、通常ならラストに持ってきてもおかしくない歌詞の奥行きとスケール感である。

ボクは確か中学生であったが、音楽の授業で作詞があったので「誰のせいでもない雨が」って一文をパクッて書いたら、先生に褒められた。

6. 縁

この歌は、正直、ちょっと鬱陶しい歌だと思っていたが、歌詞を見ながら聞いてみると印象が違った。

鬱陶しいと思っていたのは、間奏のアレンジで、それ以外はシンプルゆえに、ずしんと響いた。

この縁は ありやなしや

そうだよね、そこが分かっていたらずっと楽なのにね。

自由恋愛の時代じゃなかったらもっと楽に生きられた人も多いだろう、と最近思う。

7. テキーラを飲みほして

これは好きな歌ですね。

テキーラを飲みほして テキーラを飲みほして

短かった 幻の日々に

こちらから Say Good Bye

って、全然「こちらから」じゃないじゃないか、って話はおいておいて。

その男と付き合ってもいないのに、男の惚れた女のしぐさを真似て、男の相手が変わるたびと自分も相手を変えて、待てと言われもしないまま6年が過ぎて、って自分だけが未練たらたらの歌ですね。

結末は分かっていたんでしょうけど、最後は強い酒が必要ですよね。

8. 金魚

金魚をしあわせにみたてて、ひらひら逃げる状態を憂う。でもしあわせは、旅暮らしには訪れないな、とちょっとへこむ。

なんだか素顔のみゆきさんを覗いてしまったような気になってしまう歌です。

なんだか即興で作ったようでもあり、それゆえに生々しくも感じられます。

9. ファイト!

「あたし中卒やからね 仕事をもらわれへんのやと書いた~」ではじまる、おなじみの曲です。

このアルバムは知らなくても、だれもが聞いたことのある曲のようで、逆にどこで聴いたの?って知りたくなります。

全く同じじゃないけど、誰かから直接ファイトの歌詞のような体験談聞いたっけな、とか考え込んでしまう詞です。

歌詞の重要な部分に、あれ、このアルバムって寒水魚だっけ?ってい思う内容が紛れ込んでいます。

ファイト!闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう

ファイト!冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ

ボクは、この「予感」はちょうど汽水のような水の塩分濃度がアンバランスな状態のアルバムだと思っています。

(汽水というのは、川の河口付近の淡水と海水がまじりあった状態)

「寒水魚」のコンセプトに引っ張られるようにこの「ファイト」が収録されていたり、4曲目のようにロックにインスパイアされた今後の方向を予感させるような曲が入っていたり、リスナーからしてみたら随分と濃度や密度、息苦しさが違うような気がします。

そして、それでも1枚のアルバムとして破綻はなく、質の高い1枚に仕上がっていることが驚きです。


最後に、amazonのレビューから共感できるコメントを引用させてもらいます。

みゆきは裏切らない
レンタル店でも見つからなくてどうしてもほしかったので買いました。
やっぱりこの時代のみゆきはいい。

———AMAZONレビューより———

そうなんですよね。

この当時LPレコードで持っていたものが、CDで再発売され、まだいいか、と思っているとCDも絶版になったりして、なかなか入手しずらい状況になります。

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ただ、過去売れていた商品はいいのですが、大江千里の比較的新しめのここ10年前前後の作品とかレンタルされないものもあるので、そういったものをどうするか、思案中です。

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