『PARADE』スガシカオ 2006年 レビュー

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スガシカオ 『 PARADE 』レビュー

このアルバム

『 PARADE 』は、2006年に発売された スガシカオ 7枚目のオリジナルアルバムです。

デビュー10周年を目前に発売された強力アルバム。
タイアップ・シングルには「奇跡」「19才」「真夏の夜のユメ」「Progress」(セルフカヴァー)など話題曲を多く収録している。
「午後のパレード」に至っては振り付けを動画公開してファンにライブで踊ってもらうなど、まさに乗っているスガシカオです。



 曲 目

  1. 奇跡
  2. 19才
  3. 38分15秒
  4. 斜陽
  5. 夏陰 ~なつかげ~
  6. タイムマシーン
  7. Rush
  8. Hop Step Dive
  9. 真夏の夜のユメ
  10. 7月7日
  11. 午後のパレード
  12. Progress <Family Sugar Version>

1. 奇跡

朝日放送『2005年全国高校野球選手権大会中継』統一テーマソング。

「夏の甲子園では奇跡が身近にある」ということをヒントにして書いた曲。

民放とはいえ高校野球のテーマソングを作るに当たり、万人受けするヒット曲にしようとMr.Childrenの曲作りを参考に作ったとのこと。

とはいえ、一人のリスナーとして聴くと、頭からスガ節が薫っておりミスチルの楽曲をイメージすることはほとんど無い。

シングルのカップリング曲 サナギ。

2. 19才

TBS系アニメ『xxxHOLiC』オープニングテーマ。

本人も言っているが、世間がスガシカオに求めているのはこの19才の毒のある世界だと思うし、ボクもこういうものを求めていた気がする。

オケだけ聴けば、完全にプログレスロックであり、とても日本でヒットするような種類のものではないが、スガシカオの歌詞を載せることで成立する正にスガシカオの曲である。

ボクはよく思うんだけど、リスナーにとっては日本語さえ乗っかっていれば、音楽のジャンルは全く関係ないんじゃ無いかなと思う。

ただ、聞きやすいかそうでないかという区分だけが存在するのかな。

ボクは日本語歌詞でボクが聴きたくなるような音楽は全てJ-POPだと思って聴いている。

ところで、このPVの中で若い女性が自淫するシーンがあったり過激と判断された該当部分を放送しない措置がとられ、その後公的機関からの指導により発売禁止となった。

当初テレビでPVは普通に流れていたことから、ボクは『しまった、しっかり見ておけばよかった』と非常に後悔したものである。

ちなみにこのPVは現在発売中のDVDに収録されている。

この「19才」というタイトルはなかなかインパクトがあるが、村上春樹の小説「ノルウェイの森」のセリフが影響しているとボクは勝手に思っている。
「人はずっと18歳と19歳の間を行ったりきたりすればいいのに。19歳になったら、その次は18歳に戻るの」

シングルのカップリング曲 サナギ(笑)



3. 38分15秒

ファンにはご存じ、テレフォンセックスの歌(笑)である。

31分22秒 あつい吐息

31分55秒 君とひとつになった

38分15秒 電話終了(笑)なのである。

この曲自体が大きな遊び心で作成してあり、「38分15秒」というキーワードで曲が作られてはいるが、小さく固まったメロディ・リズムパートが無秩序に組み合わされており、テレフォンセックスのように強力なモチーフが無いと歌詞の上でまとめきれなかったのではないかと思う。

こういう作りなので、歌詞も掛詞(カケコトバ)で遊んでいる。

”おれってさぁ どうなんだろう??’は「おれって サドなんだろう??」

”38分15秒 なんてくだらない機能・・・・’は 「なんてくだらない昨日」

などなど。

次曲「斜陽」は聴く人にとっては重い曲なので前曲がこれぐらい見かけハード、中身ライトな曲でよかったと思う。

38分15秒
スガ シカオ
¥ 250



4. 斜陽

女性にとってはなんてことの無い曲なんだろうなと思う。

何をぐちぐち言っているの、こっちはそれほど気にしちゃいないわよ、と。

ただ男性の多くにとっては人ごとでは無い曲である。

一見、ふつうの甘酸っぱい青春のラブソングである。

歌詞の主人公は、あの頃の行動一つ一つを淡々と歌い上げていく。

その言葉ひとつひとつが多くの男性リスナーの気持ちを刺激し、頭を抱えさせる。

そしてとどめをさされる、「見せかけのくさった心」と。

(歌詞より抜粋)

ぼくのやさしさって きっと君のためじゃなく

悲劇のヒーロー気取った 見せかけのくさった心

ほんと、そうだよな、と思う。


ふつう泣ける曲というのは、何かもらい泣きのような共感であったり、ちょっとした行動、言動に心当たりや思い出があって、それを振り返って気持ちが分かる場合がほとんどだと思う。

だけどこの曲は「おまえは出来もしないくせに、こんなこと考えていたんだろ。それじゃ女も離れるよ」となぐってくる。

はじめは「ごめん、ごめん」と後ろを向いて逃げるのだが、相手は追いかけてきて首根っこを掴んで「おまえの性根が腐ってるからだよ」と泥水に顔を押しつける。

抵抗する気も起きない無力感に襲われ、身体の異物を流すように涙が流れる。

何やってたんだろうな、ほんとに、あの頃は、と思う。

男性はぜひ一度耳にしてほしい。

斜陽
スガ シカオ
¥ 250



5. 夏陰 ~なつかげ~

『熱闘甲子園』エンディングテーマ
アニメ『ハチミツとクローバーII』挿入歌

「サナギ」同様、シングル2枚にこの曲がカップリングされている.

スガシカオにとって大切な曲なのだろう。

夏の終わり、昼の終わりと恋の終わりを織り交ぜた歌。

秋の予感、夜の始まり、喪失感のはじまりの歌でもある。

(歌詞の内容)

ずっと君とのこんな日が続くと思っていた。

ぎこちなく笑わなくちゃならないほど「終わり」が近づいてるけど。

ぼくら二人は今、同じ未来にむかってるんだろうか?

もうゴールなんか決めなくても、ふたりでいれたら、と思う。

そんな願いにも、もう夜(おわり)が近づいてきた。

6. タイムマシーン

タイムマシーンがあったとして、究極の選択をしなくちゃいけないのかい?

戻って、好きだって伝えたり、他の人にサヨナラ言ったり。

死ぬ前のアイツにあって、また死ぬところ見るの?

許せないやつ殺しちゃうのもいいかもね。

やめよう、やめよう、タイムマシーンはないほうがいいね。

タイムマシーン
スガ シカオ
¥ 250



7. Rush

この曲のギターは、雰囲気に合わせてスガシカオがわざとウマヘタに弾いたものを録音。

なんともコメントのしずらい曲、なのでスルー。

Rush
スガ シカオ
¥ 250



8. Hop Step Dive

「マイナビ転職」CMソング
22枚目のシングル「フォノスコープ」の収録曲

前曲から一転して、非常に前向きでさわやかな曲である。

こんなメッセージ性を強く出すことって、スガシカオの曲では多くない、というより思いつかない。

(歌詞から抜粋)

死んでしまった奴より 生きたいと願え

(中略)
ベッドの中で耳をふさいで 逃げてる場合じゃない

昔よりはちょっと マシなことも言えるかな

これからの君とぼくの歌になればいい

凄く前向きで、直接的なメッセージである。

あのスガシカオが、ここまで言い切ってしまうと気持ちいいよね。

落ち込んだときに勇気をもらえます。

Hop Step Dive
スガ シカオ
¥ 250

9. 真夏の夜のユメ

映画『デスノート』の挿入歌。

「ぼくは孤独でウソつき」ではじまる歌。

デスノートの挿入歌ということで、不当に聞き流されてしまう曲なのではないだろうか。

少なくともボクの場合はそうで、どうしてもデスノートのイメージがついてまわる。

大ヒットした映画なのでなおさら。

もう定着したイメージは残ってしまうけど、今回、歌詞を見ながら曲を聴いてみるとすごくいい曲である。

できたら映画とのタイアップ無しで収録してほしかったぐらい。

それにしてもスガシカオの歌詞に載る「ウソ」は要注意である。

(歌詞から抜粋)

もし 約束のあの場所に たどり着けないとしても

君の手を ぼくは はなさないだろう・・・

この曲の「ぼくは孤独でウソつき」は上の部分を差していると思う。

「君の手を はなさないでいられるかな?ウソつきのぼくは」と。

ボクはそう思うんだけど、どうでしょう?



10. 7月7日

ボーカルを録音時に、奇跡的に神が降りてきた、とスガシカオ本人が語っていた。

確かに、声を張って歌えばいいというものでもないし、雰囲気を出して歌うのが難しい曲である。

タイトル「7月7日」と歌の内容がどこでリンクしてるんだろうって、ここ10年悩んでいます。

ただ雰囲気はひしひしと伝わります。

(歌詞より抜粋)

一人きりで 君と待ってるのは

もうイヤだよ 夜に食い殺されてしまうよ

暗い宇宙にひとりで放り出されて、声がどこにも届かない無力さを感じているような歌です。

7月7日
スガ シカオ
¥ 250

11. 午後のパレード

積水ハウス「シャーメゾン」CMソング
『音楽戦士 MUSIC FIGHTER』オープニングテーマ
映画『髪がかり』主題歌

本人のノリを優先させて作ったようで、歌詞にも高速スピーカーとか未来のパイロットとか深い意味の無い単語が並んでいる。

なぜスガシカオがディスコ?って思うかもしれないが、もともとスガシカオはディスコ業界出身の人間である。

そんなわけは無いが、次アルバムからのファンクを前面に出したのと同様、いろいろと試行錯誤の様子がうかがえる時期ある。

曲の好き嫌いは別にして、ライブでは非常に盛り上がる1曲である。

振り付けまで公開していたが、もっとカンタンなものの方が良かったかな、おじさんとしては。

またこの曲の時には、大きい白メガネのダンサーが舞台を埋め尽くし、なかなか壮観だった。

バンドFAMILY SUGARのメンバーも楽しんでいたんじゃないかな。



12. Progress <Family Sugar Version>

NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の主題歌

オリジナルは、スガの参加バンドkōkuaの楽曲であるが、これはFAMILY SUGARが演奏したバージョンである。

やっぱりボクは耳慣れたkōkuaの演奏が好きである。特にギターのイントロが。

この曲で2006年紅白歌合戦にも出場しているし、今でもその番組っぽい雰囲気の時にかかる曲なので知っている人も多いだろう。

NHK『プロジェクトX』の中島みゆきといい、『プロフェッショナル 仕事の流儀』スガシカオといい、いいところに目をつけて依頼すると、感心する。

曲が流れてからもう10年経つが、まだまだ色あせない。

Progress
スガ シカオ
¥ 250


『PARADE』スガシカオ 2006年 レビュー
『TIME』スガシカオ 2004年 レビュー
『SMILE』スガシカオ 2003年 レビュー
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