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Acid Black Cherry『Recreation 4』レビュー
このアルバム
『Recreation 4』は、2017年1月25日発売 Acid Black Cherry 4枚目のカバーアルバムです。
Recreationというのは“名曲を次の世代に唄い継ぐ”ことをコンセプトとしたカヴァーアルバム企画。
前作から約3年半ぶりの発売となるが、今回の選曲は前回までの3作を含めてもボクの好みにピッタリと合っている。
12曲中9曲は名曲と称号に全く異論は無く、他の3曲も単に聞き込んでいないだけで、今回のレビューでそう認定する可能性は高い。
ところで、カバーアルバムの評価というと、ちょっと難しいが、選曲の良し悪し、アレンジの出来、ボーカルの出来ということになると思う。
曲の中にはオリジナルがシングルになっていないものもあり、正直集めるのは難しいかもしれない。
このカバーで曲を聴いて、興味を持ったらオリジナルを探してほしい。
曲 目
- 流星のサドル
- 星空のディスタンス
- 輝きながら・・・
- 三日月
- CLOUDY HEART
- 青空
- 青春のリグレット
- 私はピアノ
- Forget-me-not
- フライングゲット
- M
- Tomorrow never knows
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1.流星のサドル
久保田利伸が1986年9月10日に発売したファーストアルバム『SHAKE IT PARADISE』の収録曲 。
久保田利伸の「流星のサドル」です。
このアルバムを聴いたとき、名曲がいっぱいで羞悪時期驚きました。
日本にこんな良い曲を作る人がいるんだ、こんな凄い声で歌う人がいるんだ、と。
ところで、アルバム中の曲ですが、リズム隊のアレンジが懲りすぎていてものすごく聞きにくいです。
ベースやドラムが跳ねてもいいのですが、ボーカルの邪魔になってはいけません。
この曲はノリとメロディーがいいので、正直、そこそこの歌唱力を持っている人が歌えば歌いやすい曲だと思います。
それだけに高い音域の連続に表情を付けて自分らしさを出せるかが上級者の課題になるかと思うのですが、ボーカルもアレンジも原曲のほうがいいですね。
2.星空のディスタンス
THE ALFEEが1984年1月21日に発売したシングル。
ボクはこの曲は勝手に奇跡の歌だと思っています。
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僕の地方ではアルフィーに好意的で、若者向けローカルラジオ番組でメリーアンの前からずっと一位をとり続けていました。
しかし、全国的にはアルフィーはデビューから10年近く全く売れていない状態でした。
それが、「メリーアン」のヒットで全国区になり、大事な大事な次の曲でこの「星空のディスタンス」を大ヒットさせたのです。
その後の大進撃はすごいもので、出す曲出す曲必ずベスト10に入っている時期が数年は続きました。
ボクは、その大御所バンドとしての安定の原動力となったのが「星空のディスタンス」だと思っています。
どんな実力のあるバンドでも、1曲のヒットだけではスーパーメジャーにはなれません。
人工衛星のように高い位置で回り続けるには、2段目のロケットに点火する必要があるのです。
「メリーアン」以前はもっとアコースティック要素が強かったのですが、何故これほどキャッチィで良い曲がこのタイミングでリリースできたのか、今でも不思議です。
神がかり的とさえ思えますが、正式に決まるまで「神曲」という仮タイトルをつけていたのがよかったのかもしれません。
と、曲とアルフィーの説明になってしまいましたが、Acid Black Cherryの同曲はなかなかいいです。
「星空の下のディスタンス」と三声でハモるところは本当にいいですね。
アルフィー以外でこの曲の三声ハモりは聴いたことが無かったんだと、気づかされました。
そういえば、ビートボーイズ以降、日本でハモりグループってあんまり出ていないですよね。
3.輝きながら・・・
徳永英明16枚目のシングル「Greed Greed Greed」のカップリング曲。
原曲の徳永英明はもっと素朴にとつとつと歌っていたイメージがありますが、このボーカルは多少大げさに歌っていますね。
けど、なかなか雰囲気ありますよ。
あぁ、この曲を選んだんだな、と思ったけど、それはボクがあまり注意していなかったからかもしれない。
このアルバムに入っていてもおかしくないですね、これ。
4.三日月
絢香が2006年に発売したシングル曲。
絢香個人に対しての好き嫌いはありそうだけど、この曲が名曲じゃないという人はいないんじゃないかな。
歌い方や曲の熱量も含めて、ここ10年ぐらいの中ではトップクラスに位置すると思います。
ただ楽曲の良さは置いておいて、やはりこの歌は絢香が歌ってこそかな、というのが正直な印象です。
ホストの方が客のリクエストで熱唱してらっしゃるように聞こえてしまいます。
切ない部分がうまく伝わってこないのは思い込みかもしれません。
5.CLOUDY HEART
BOØWYの19枚目のシングル「INCUBUS」のカップリング。
いいですね。BOØWYの楽曲の中で「CLOUDY HEART」を選ぶのは、ボクからすると「分かってらっしゃる」という感じです。
ボーカルも、バンドの男性ボーカルということもあり違和感はありません。
特筆すべきは、アレンジは全くいじっていませんね。
BOØWYに対する最大限の敬意が感じられます。
というか、BOØWYと全く同じ状態で、憧れとしてステージで演奏してみたかったのかもと思ってしまいます。
6.青空
THE BLUE HEARTS、1989年発売のシングル。
ブルーハーツの楽曲の中でこの曲を選ぶんですね。
ボクも当時、彼らの登場でものすごい衝撃を受けた一人ですが、この曲はノーチェックでした。
とても素直なメロディーで、純朴な歌詞を大声で歌うと、いつもの金ぴか声のボーカルでは無く、中型都市の好青年の歌のように響きます。
もちろんいい意味でです。
7.青春のリグレット
松任谷由実、1985年発売したアルバム『DA・DI・DA』の収録曲。
この歌には参りました。
Acidが歌うことで、オリジナルでは見えなかった部分が見えてきました。
松任谷由実 本人が歌ったものよりも好きですね、この曲。
アレンジも、現代風に垢抜けて本当の意味でRecreationですね。
8.私はピアノ
サザンオールスターズ、1980年アルバム『タイニイ・バブルス』の収録曲で、その後高田みずえがカバーしヒット。
そうなんですよね、これは名曲だと思います。
もしボクが曲を何百も作ったとしても、このメロディーは絶対に書けないと思います。
メロディーが、次の旋律を追い越して、ちょっと形を変えてまた追い越して、潮の満ち引きのようにサビと最後まで続きます。
やはり桑田佳祐はスゴイですね。
ところで、高田みずえを原曲とすると大部歌謡曲の色合いが強いのですが、このアルバムではかなり現代風にリアレンジし、ボーカルもよく合っています。
聴いたことの無い人には是非聴いてもらいたい曲ですね。
9.Forget-me-not
尾崎豊の3枚目アルバム「壊れた扉から」収録。
曲の説明には2001年シングル発売とありましたが、実は初期三部作の3枚目のアルバムに入った曲です。
なお初期2作のバラードをあげると「I LOVE YOU」「OH MY LITTLE GIRL 」「ダンスホール」「群衆の中の猫」と名作揃いとなっています。
当然、尾崎ファンは次のアルバムにも同水準以上のバラードを期待します。正直、かなりのプレッシャーがかかっていたと思います。
「壊れた扉から」にはこの「Forget-me-not」しかバラードは入っていませんが、よくこれだけの歌をあのプレッシャーの中作れたなと、当時ボクは感激していました。
そしてこの歌をカバーしてボーカルは、なんだか尾崎っぽく歌います。
彼の原曲を聴いていたら、そのようにしか歌えないのでしょう。
これも知らない人は是非聴いていただきたい曲です。
10.フライングゲット
AKB48、2011年発売のシングル。
この曲はどうか?っていうより、あまり真剣に聴いたことが無かったんですよね。
でも、いいですよね。
アレンジも凝りに凝って、ハードロック仕立てのカッコイイ曲にしています。
でもなんだろう、この違和感はと思ったら、英語とカタカナ文字の音節の違いでした。
例えばロックバンドは英語を英語らしく発音しますので、「Flying Get」は2音節です。
でも、カタカナの「フライングゲット」だと8音節になり、全く別物になってしまいます。
なので、このカバー曲はアレンジこそハードロックなのですが、中身はJ-POPという状態です。
実験としては面白いです。
11.M
プリンセス プリンセス、1989年発売シングル「Diamonds」のカップリング。
ボクには持論があるのですが、大ヒット曲や名曲のカップリング曲もまた非常に「良い歌」というものです。
そして、この歌もその持論を証明してくれています。
カバーのボーカルは、やはりちょっとキラキラ系の歌い方なのですが、この曲には凄く合っています。
対象リスナーの若い女性からすると一番ピッタリする声なのかもしれないですね。
そして、アカペラのアレンジもそのボーカルを支えています。
しみじみします。
12.Tomorrow never knows
Mr.Children、1994年発売のシングル。
「星空のディスタンス」のように、ミスチルにとっての2段ロケットの燃料はこの曲だったとボクは考えます。
ドラマとタイアップした「CROSS ROAD」がヒットし、その1年後のこの曲でバンドの評価を不動のものにしました。
カバーのアレンジは多少手を加えているものの原曲の世界観をそのまま維持しています。
ボーカルもいいと思います。